"王様はハダカ"セルフ・ライナー・ノーツ


~まえがき~

 リリース前に、心がポキっと折れそうな瞬間がたくさんありました。

ですがそのたびに奮い立てたのは、モチベーションのベクトルが自分じゃなくて、協力してくれる人たちへの恩返しになったからです。

自分の活動で恩を返すまで、何度だって何だってやり抜こうと決めました。

 

そしたら、自然と「挑み続けること」「始め直し続けること」というテーマが浮き彫りに。

自分より輝いて見えるアノ人だって、社長さんだって、アイドルだってロックスターだって、みんな同じようにして登りつめたのだから、これくらいでくじけてちゃまだまだ甘いぜ、と。王様こそハダカで頑張ってるんだぜ、と。

 

「続けることが大事だよ」

昔からよくいろんな先輩からこの台詞を言われるたびに、あまり腑に落ちなかったのだけれど、ようやくその大事さがわかってきた気がします。

ただ、「続けている」のか「続いちゃってる」のかは違うよと、一言添えておきますが。(後輩の名言を引用しました)

 

さて、長くなりましたが本題へ。

先にUPした特設ページ然り、このページ然り、ここまで書いておいて言うのもアレなんですが、別に見なくても構いません。

こういうの必要か?と言われたら俺だってわかんないけど、歌やメロディじゃ伝えきれないことや、こうやって伝えたい気持ちっていうのもあるんだよな。

 

物好きなアナタ、俺も同じだよ。

少しずつ書くつもりが、すげー長くなってしまいました。気が向いたら読んでみてください。どうぞ。

 

(文/イダユウヤ)


■ M-1「everyday,starting over」について

 

自分の全てを否定せざるを得ない日があって。もういよいよだめかもな、、なんて弱気になった夜があって。

でも良く考えたら、そもそも否定するほど積み上げても無いし、だったらまた始め直せばいいや、と生まれ変わったようにハッピーな思考に去年末くらいになりましてね。おかげさまで前向きな曲が書けました。埼玉県の秩父にladderladderというライブハウスがあるのだけど、ここに行って先輩や仲間と話せたことも1つのきっかけでした。ありがとう。

 

何事にもブレない軸をずっと探していたのだけど、もうそれもいいかなって。ブレにブレ続けて歌っていこうと思います。

“忘れてしまうだろう 僕のことだって”っていうフレーズとメロディが、ばっちりだと思ってます。

 

2015年のうちに全曲録り終えるはずだったのに、事情により1度レコーディングが止まりましてね。

「だったらいっそこの曲を・・・」と、曲が出揃っていたにも関わらず、2016年になってメンバーに渡して「これ○○と差し替えてレコーディングするから」と傍若無人ぶりを発揮したのは内緒です。(その節は大変申し訳ございませんでした)

 

 


■ M-2「ハダカの王様」について

 

このアルバムのリードトラックになります。

プライドが高い、と言われることが多々会った時に「それすら捨てたら何にもなくなっちゃう気がする。。。」と書いた曲。

ですが、歌っていく中で気持ちがだんだん変化していって、「王様のような人ほど自分以外のために、それこそ国のために、頑張っているんだよな」と思うようになりました。そうしたら歌うことへのモチベーションが"自分のため"より"誰かのため"に変わり、「例え自分には何もなくても、誰かの何かになれればいいや」という意味の歌になりました。今ではプライドを持っていようが捨てようが、どちらでもいいかなと思いますが、国にとって国民が1番大切であるように、何を1番に考えるのかを忘れてはいけないなと思います。 

 

曲が出来た瞬間・スタジオで初めてみんなで鳴らした瞬間・レコーディングで完成した瞬間、それら全ての瞬間で「間違いなく名曲だな」と思いました。売れたい!

 

ハダカの王様Music Video

 

 


■ M-3「12月のlove letter」について

 

1st demo"(re)cycle"からの再録で、素晴らしく豪華になったアレンジが気に入っています。

原曲が出来たのは実はとても前で、以前やっていたバンドの時からあったから、2011年くらいには曲だけ仕上がっていました。でも当時の自分だと全然再現できなかくて、そこから1年くらい歌詞が書けなかったり、アレンジができなかったりした印象が強いです。

 

この詞に出てくる2人が、僕のイメージを超えて、聞いた人の頭の中で物語となって動き出してくれると嬉しいな。

色々な人に「こんなイメージが浮かびました」と言ってもらえることが何度か言ってもらえたのだけど、そのどれもが違っていて、どれもが正解かもしれないなぁーと思いました。音楽の醍醐味。

ただ、「夕方の公園」と言われた時だけは思わず「違います」と言いました。メンバーでした。バカ野郎この野郎。

 

再録したことでまた感想をたくさんもらえたら、その中からMV作るのもおもしろいな、と今思いつきました。本当にきても作れるかどうかわからないけど、一応お金は貯めとこう。。。

 

 


■ M-4「僕のペットを紹介します」について

 

妬みや嫉みのような自分の中の真っ黒な心、というものがまず歌詞のテーマとしてあって、それをどう書いたら重くなりすぎないか、で悩みました。結果、子供になったつもりで書いてみたら、いい感じに力の抜けた仕上がりになりました。だから歌詞カードの表記を全部ひらがなにしてやろうと思ってたんですが、ストーカーの手紙のような不気味すぎるものが目の前に現れたため即座に破り捨てました。悪・即・斬ですね。(るろうに剣心って知ってるかい?)

 

ギターもベースもドラムも、曲の世界観をとても意識してくれていますが「ブリキのおもちゃっぽく」という謎の注文をよくわかってくれたなと感心させられました。

 

そうそう、仮タイトル「かいじゅうのマーチ」にしていたんですが、よく考えたら中学の合唱コンクールで歌われてた曲の中に似たようなタイトルがありましたよね。怪獣のバラードってやつ。

そのうち自分の曲が合唱コンクールで歌われたりしたら泣いちゃうな。そうなれるような自分でいなきゃな。

 

 


■ M-5「オーダーメイド」について

 

ネガティブなものがポジティブに変わった瞬間がテーマで、2015年の3月下旬に花見に行った時に出来た曲です。桜といえばすぐに散っていく切ないイメージがあったのだけど、きっとこれからは「桜」と言えばこの桜を思い出すだろうなというくらい、あまりに綺麗で満開だったのを覚えています。

 

また、自分の気持ちに素直でいることも大事だけど、それよりも今日来て良かったって思ってもらうことが何より大事なんだと再認識した2015年のツアーファイナル。その時の気持ちと妙にリンクしたこともあいまって、とても綺麗事だらけの歌詞になりましたが、何一つ嘘なんてありません。

 

この曲は、自分の様々なシチュエーションでカチッとリンクしていくので、たまに自分に跳ね返ってきて胸がいっぱいになります。

実は、一緒に歌ってくれる予定だった僕の親友が、レコーディング直前に天国に旅立ってしまいました。ずいぶん前に書いた歌詞のはずなのに、今聞いたらそういう歌に聞こえてくるんだよな。彼と一緒に作品を作りたかった願いこそ叶わなかったけど、本当に素晴らしい仕上がりと歌が録れました。彼が録らせてくれたんだろうなと思います。

 

まーくん、あなたに届くように人生かけて歌っていくから、向こうで一緒に歌ってておくれ。

 

song for "masayuki nakano(shepherd)"


■ M-6「誰より回れ!」について

 

アルバムのバランス考えて速い曲を作った、と言ったらそれまでなんだけど、こういう速い曲って全然書いてこなかったから、自分でもどんな曲が書けるかわくわくして作ってました。そしたら瞬殺で書けました。向いてるかもしんない!と歓喜したまでは良かったのですが、あっけらかんとしたこの感じの曲に載せる歌詞に苦労しました。

 

 “人混みを掻き分け 朝焼けを行く”という出だしの歌詞を朝方ふと思いついたら、そこからは早かったです。

働くという事をテーマに、「この仕事って自分に向いてるのかなぁ」という漠然とした不安へのアンサーを書きました。

やり続けることでしかわからない良さや、自分一人で出来るようになる楽しさにのめり込むうちに、勝手にやりがいが出てくるんだよってことを歌った曲です。

 

イダのくせになにを偉そうに、、、とサラリーマン時代にお世話になりすぎた方々からは思われるかもしれません(もし見てたら生意気言ってすいません。。。)でも大学でてからそのまま音楽の道に行っていたら、この曲(というかこの気持ち)は一生書けなかっただろうな、と思いますし、もう辞めてたかもしれません。全部が必然だったかどうかわからないですが、全部が必要だったのかもなとは思います。

アルバムを何周も聞いてもらえたら、という願いを込めて、最後にこの曲を収録しました。どうか何度も回してやって下さい。